はじめに
エントリーシートの内容は、基本情報を書く欄と設問に大きく二分されています。
設問部分は単に答えればいいわけではなく、企業が「採用したい」と思わせるようなメッセージを組み込まなければなりません。
魅力を感じてもらえなければ、次の選考に呼ばれないでしょう。
そこで本記事では、これからエントリーシートの作成・提出を控えている就活生に向けて、書き方、企業の意図、下準備についてお伝えしていきます。
エントリーシートに書く基本情報の内容
エントリーシートには、まず基本情報を企業に伝える欄があらかじめ用意されています。
基本情報には以下の項目が含まれています。
- ・日付
- ・氏名
- ・顔写真
- ・生年月日
- ・年齢
- ・住所
- ・連絡先
- ・学歴
ありのまま正直に書けばいいのです。
下手に繕ったり、自分を大きく見せたりする必要はありません。
それでは、順に見ていきましょう。
日付を書く欄
エントリーシートの基本情報の日付は、「企業提出日」を記入しましょう。
提出する直前に最終チェックをするでしょうが、その日付を入れればいいのです。
西暦(202〇年)、和暦(令和〇年)どちらでも構いませんが、エントリーシート全体で表記の揺れが生じないように統一しましょう。
エントリーシートを書き始めた日、書き終わった日など、自由に書くのは避けてください。
氏名を書く欄
氏名はフルネームで書くのはもちろん、できれば運転免許証、マイナンバーカード、住民票などの表記に忠実に書いてください。
例えば、普段「深沢」と書いている方も、エントリーシートには「深澤」と、自治体に届けている通りの漢字で書きましょう。
振り仮名を書く欄では、「ふりがな」と記載していればひらがなで書き、「フリガナ」と記載していればカタカナで書いてください。
写真を貼り付ける欄
写真貼付欄の四角の中には、写真について以下のような条件が指定されています。
- ・上半身
- ・正面
- ・脱帽
- ・3カ月以内に撮影
- ・縦4センチ×横3センチ
このようなルールが記載されているので、すべて確認し、条件を満たすようにしましょう。
写真をのりで貼り付ける時は、提出先でエントリーシートから写真が剥がれてしまうことも想定できます。
剥がれた場合に備えて、裏面には氏名・大学名を書きましょう。
もちろん写真はリクルートスーツを着用し、整髪し、ひげを剃り、女性なら清潔なメイクをして、可能なら写真館で撮影したものを使ってください。
生年月日・年齢を書く欄
生年月日も氏名と同じように運転免許証、マイナンバーカード、住民票などの表記をそのまま転記しましょう。
西暦(200〇年)か和暦(平成〇年)はどちらでも問題ありません。
しかし、提出日は他の日付に関する記載と必ず統一しましょう。
年齢は提出日時点、何歳なのかを記入します。
住所・連絡先を書く欄
〒マークがあれば、郵便番号を書きます。
政令都市に住んでいる就活生は、普段は都道府県を省略して住所を書くことが多いでしょうが、エントリーシート上では都道府県から書き始めてください。
住民票の表記をそのまま書けばいいですが、住民票上に建物名がなくても、マンションに住んでいればその名前も併記しましょう。
住所欄は限られているため、すべての情報が入るように文字の大きさ、バランスを考慮し、必要に応じて2行、3行に分けて書きましょう。
誤字に備えて、いきなりボールペンで記入するのではなく、シャープペンで下書きしておきましょう。
学歴を書く欄
学歴を書く場合は、中学の卒業時の記録から書いてください。
- ○○市立○○中学校 卒業
- ○○県立○○高等学校○○科 入学
- ○○県立○○高等学校○○科 卒業
- 私立○○大学○○学部○○学科 入学
- 私立○○大学○○学部○○学科 卒業見込み
多くの方は5行で収まるはずです。
次に職歴ですが、アルバイト経験があっても職歴は「なし」と記入します。
第二新卒の方は、退職した会社あるいは在籍している会社を明記してください。
以上の項目がエントリーシートの基本情報です。
エントリーシートに書くガクチカの内容
ガクチカの定義
ガクチカとは「学生時代に力を入れたこと」です。
大学に合格し、入学して3年近く経過しているわけですが、何を頑張ってきたか振り返りましょう。
勘違いしないでいただきたいのは、企業は就活生がどのような学生生活を送ってきたのか、単に大学の思い出を知りたいわけではありません。
ガクチカから企業が知りたいこと
企業は正直、就活生のこの先の未来、採用後のことしか考えていません。
就活生に内定を出して入社してもらったら、どのように動いてくれるだろうかをガクチカから推測しようとしているだけです。
企業は、就活生が大学入学後、きちんと自分で調べ、考え、答えを出し、選択し、目標を立てて動き、生み出してきたかどうかを知りたいのです。
つまりガクチカは、就活生の「主体性」を確認するために必要不可欠な設問なのです。
親や先生の言うことをただ聞いていた高校時代とは異なり、多くの大学生が自らの判断・考えで、道を選び、切り拓いてきたはずです。
社会に出た後も、経営理念や上司の指示に従いつつも、主体性をもって働いてもらうことを企業は期待しています。
就活生がガクチカを通じて伝えるべきこと
「学生時代は自分で決めて自分で行動してきました」「入社後も自ら創意工夫をして会社に貢献し、人生をステップアップさせていきます」というメッセージを込めたガクチカを書けば、書類選考の通過率は高まるでしょう。
ガクチカを書くときに用意すべき題材
文章を書くとき、ぶっつけ本番で書くのはおすすめしません。
質の高い文章を書くためには下準備が必要です。
エントリーシートを書く前に、以下のことを整理しておきましょう。
- 自分で考え、自分で決めて、自ら行動したこと(事実)
- その行動に至るまでの背景や経緯、想いなど
- 自分で自分を褒めてあげたいくらいがんばったこと
- 行動して得られた将来役立つ経験や学び
自己分析したことをあらかじめまとめておけば、ガクチカは書きやすくなるはずです。
エントリーシートに書く志望動機の内容
志望動機を書き始める前に、自己分析や業界研究、会社研究を行っている必要があります。
3つの工程がまだお済みでなければ今すぐ取り組みましょう。
志望動機は、
- ・自分のこと
- ・業界のこと
- ・会社のこと
を理解できて、初めて自分や企業が納得できる内容になります。
自分のこと
自分が最も入りたい企業はどこか、答えが出ている方もいるでしょう。
しかし、ただ入りたいだけでなく、「なぜ」その企業なのかを明確に答えられなければいけません。
明確に答えられないなら、現在第一志望の企業に入社することは本当に最良の選択なのかから検証しましょう。
自分が社会に出て会社に入って成し遂げたいことは何かについても、深堀りして考えておくといいです。
いわゆる就職活動の軸(就活の軸)や企業選びの軸がしっかりするため、エントリーシートが書きやすくなるでしょう。
業界のこと
会社のことよりも業界のことを把握しましょう。
その理由は、業界の概要、市場規模、取り巻く環境、どのような会社があるのかなどを改めて知ることで、第一志望の企業の立ち位置も見えてくるからです。
業界のことを調べてみたら最大手は名の知れた企業ではなく、別のほぼ無名の会社だったと気づくこともあります。
また、社会に出てやり遂げたいことを実現できるはずだと信じていた会社が、実は実現が無理な会社だったと気づくこともあるでしょう。
業界を知る最も簡単な方法は、『日経業界地図』という業界研究誌を活用することです。
会社のこと
業界研究をすればその業界に属する企業がわかり、リストアップできます。
第一志望の会社をどこにするかは別として、どの会社が自己実現の場になるかわかるでしょう。
- コーポレートサイト
- 採用情報ページ
- 有価証券報告書
- 統合報告書
上記のようなネットで入手可能な情報を見て精査してください。
これら3つの分析・研究を終えたら、志望動機は簡単に書けるでしょう。
エントリーシートに書く自己PRの内容
自己PRといえば「自分はこういう人間です」とアピールすることだと考えているでしょう。
しかし、それではただの自己紹介です。
就職活動における自己PRとは、自ら企業に「こういうスキルがあります」「これが強みです」「入社後はこういうことができるので、内定を出したらこういうメリットがあります」という能力・強み・メリットをプレゼンテーションすることです。
自己PR欄で人柄や性格のことだけ書いてしまうと、人事担当者にスキルや強みが十分に書けていないと判断され、落とされる可能性があるのです。
人柄や性格については、長所や短所を聞かれる設問で答えればいいのです。
エントリーシートに書く長所・短所
エントリーシートに書く長所・短所には、2つポイントがあります。
- 家族や友人に聞いた自分の長所・短所を書く
- 短所を伝えるときは改善策も併せて書く
それぞれ見ていきましょう。
家族や友人に聞いた自分の長所・短所を書く
自分で考えた長所・短所は本人の主観であり、客観性に乏しいです。
そのため説得力に欠け、人事担当者や面接官を納得させられない可能性があります。
ですから、寝食を共にしている家族、キャンパスで一緒に講義を受けてきた友人なら客観的視点で教えてもらうといいでしょう。
理由やエピソードつきで長所、短所を教えてもらえばとても良い参考になります。
自分が把握していない長所や短所が出てくることもあるでしょう。
教えてもらった理由やエピソードを添えれば、人事担当者や面接官は「なるほどね」と納得してくれるでしょう。
短所を伝えるときは改善策も併せて書く
短所を問う設問では、そのまま短所を伝えればいいわけではありません。
短所はマイナスポイントなので、書き方に工夫が必要です。
どのような短所を選ぶかも重要です。
例えば、「遅刻」「忘れ物」「浪費癖」など、社会人として印象が悪いものを伝えてしまうのは避けるべきです。
短所として伝えるなら、「周囲の目を気にしてしまう」「なかなか行動に移せない」「他人の意見に耳を傾けない」などが受け入れやすいです。
なぜなら、これらの短所はほかの人にも当てはまり、よくある一般的な短所だからです。
「わかる」と共感されることもあるでしょう。
ですから、短所を選ぶ時はみんなによく共通し、人事担当者にも共感してもらえそうな短所を選ぶといいでしょう。
前述したように、ただ短所を伝えるだけで終わらないでください。
短所を「課題」として、それを克服するための改善策まで考えてください。
改善するために努力していることを強調すると好印象です。
短所を伝えるだけでなく、克服しようと真剣に向き合っていることまで伝えましょう。
エントリーシートに書く将来のビジョン
「30歳で脱サラして自分の会社をつくる」「3年後には年収の高い企業に転職する」と書く方はまずいないでしょう。
とはいえ、エントリーシートには、志望する企業で将来自分が成し遂げたいことは何かを書く必要があります。
なぜこのような項目があるかというと、企業は就活生が入社後に何を成し遂げてくれるか知りたいからです。
自己分析で自分のことを理解できたら、将来のビジョンも明確になるはずです。
ここまで読み進めてもエントリーシートの書き方がよくわからないと感じたら、先輩たちが書いたエントリーシートが確認できるサイトを参考にしましょう。
そこからヒントをたくさん得られるはずです。
先輩のエントリーシートを見ることができるサイト3選
unistyle
株式会社ネオキャリアが運営する就活サイトです。
unistyleでは、4万件以上のデータからエントリーシート検索ができるようになっています。
業界×エントリーシート種類×キーワードで検索可能です。
就活会議
就活会議株式会社が運営している就活サイトです。
就活会議では、11万件以上のエントリーシートをデータベースで保有しています。
エントリーシート・体験記からエントリーシートを探せるでしょう。
ONE CAREER
株式会社ワンキャリアが運営する就活サイトです。
ONE CAREERでは、エントリーシート・体験談一覧で49万件近くのデータを確認できるでしょう。
まとめ
良いエントリーシートを書くためには、以下に注意してください。
- 身分証明書類を用意して正しく書く
- 自己分析・業界研究・会社研究をしっかり行う
- 下準備の段階で題材を集めてまとめておく
これらのプロセスを経てから書き始めましょう。
現在の就職活動においては、既卒者・第二新卒の方にもチャンスを与えてくれている会社も増えつつあります。
しかし、大学時代の就職活動は基本一度きりです。
今できることに全力を注ぎ、後悔のないエントリーシートを作成し、悔いが残らないようにスタートダッシュを切ってください。
エントリーシートは締め切りギリギリよりも、ライバルより早めに出すことを心がけると通過しやすいでしょう。