記事更新日:2025.04.03
エントリーシートは「ですます」「である」どっちで書く?企業の心証交えメリットやデメリットについて解説

はじめに

エントリーシートは、手書きとパソコンどちらがいいかと問われれば、会社から特段の指定がない以上どちらでも可能です。

ただし、入社したいという気持ちや志望度合いを熱く伝えるためには、手間暇はかかるものの、手書きがおすすめです。

それでは、エントリーシートの「ですます」と「である」はどうでしょうか。

この記事では、「ですます」もしくは「である」で書いて提出するそれぞれのメリット・デメリット、企業が抱く印象について伝えていきます。

エントリーシートの言葉遣い「ですます」「である」どちらも正解

エントリーシートの「ですます」「である」問題ですが、どちらも正解です。

どちらが適切かは決まっていません。

どちらを使っても、入社したいという気持ちや志望度合いは同じように伝わるでしょう。

「ですます調」と「である調」と表現されることが多い両者ですが、正式名称もあるため、次章で詳細を説明します。

正式名称は「敬体」と「常体」

です・ますは敬体

文章が「です」「ます」で終わる文体の正式名称は、敬体です。

文字通り、目上の人に宛てた文章や、相手に敬意を示したい時などに使うとしっくりくるでしょう。

「です」「ます」のほか、過去のことや完了したことを示唆する場合は、「でした」「ました」を使います。

ニュース番組などの原稿は、この敬体が用いられます。

だ・であるは常体

もう一つの文体の「である」で終わる文体の正式名称は、常体です。

「である」のほか、「~だ」で締めくくることもあり、過去形・完了形は「であった」となります。

公用文や新聞記事、論文などはこの常体が採用されています。

冒頭で「どちらも正解」とは述べましたが、強いていうなら「です」「ます」の敬体を使うほうが、より望ましいでしょう。

実際に就活生の多くは、文末を「です」「ます」で書いています。

そんな「ですます」のエントリーシートについて、次章から見ていきます。

文末「ですます」エントリーシートの企業の印象と書くメリット・デメリット

企業が抱く「ですます」エントリーシートの印象

自分より年上の人、先輩から届いたメールなどの文章を読んだ時、「です」「ます」で書かれていたらきっとこんな風に感じるでしょう。

  • ・丁寧すぎ…
  • ・対等に見てくれている…

少しうれしく感じる人もいるはずです。

ただ、年下や後輩から「です」「ます」で書かれたメールを受け取った時は、当たり前なので何とも思わないでしょう。

では、ビジネスシーンに置き換えたらどうでしょうか。

ビジネスシーンにおいてもお察しの通り、「です」「ます」でメールを送るのが一般的です。

次のような関係においても同様です。

  • ・親会社と子会社
  • ・元請けと下請け
  • ・売り手と買い手
  • ・上司と部下

やりとりする文書やメールは、基本的に「です」「ます」が多いのです。

そのため、ですます調のエントリーシートは多くの人事担当者、役員にすんなり受け入れられるでしょう。

「ですます」エントリーシートを選ぶメリット

「ですます」のメリットは、スラスラ書きやすい、担当者が読みやすい、柔らかい印象になることです。

一つずつ説明していきます。

スラスラと書きやすい

私たちは普段、「~だ」「である」という言葉遣いで話すことはありません。

一方で、家族・友人以外には「です」「ます」を文末につけて話すのが当たり前です。

そのため、エントリーシートを用意する時は思いついた文章を声に出しながら書くと、違和感のない文章に仕上がるでしょう。

担当者が読みやすい

日常的に取り扱っている文書やメールは、ですます調であることが多いはずです。

そのため、人事担当者も日頃から見慣れた「です」「ます」のエントリーシートの文章は読みやすく、身構えることはないでしょう。

柔らかい印象になる

「です」「ます」は、使うだけで相手に「敬意を表している」「丁寧な人だな」という印象を与えます。

柔らかい印象になるため、好意的な文章に見えるでしょう。

「ですます」エントリーシートのデメリット

反対に、「ですます」のデメリットは単調な文、冗長な文になりがちなところです。

特に尊敬語には注意が必要です。

一つずつ詳細を見ていきましょう。

単調な文になりがち

ですます調の文末は、当然「~です」「~ます」という終わり方が基本です。しかし、

  • ~ます。~ます。~ます。
  • ~です。~です。~です。
  •  

このような文末が3以上続いてしまうと、単調で稚拙な文章に見えてしまいます。

そのため、人事担当者から退屈だと思われるリスクがあるのです。

この対策としてエントリーシートでは、

  • ~です。~ます。~です。
  • ~です。~です。~ます。
  •  

といった同じ文末が3つ連続しないように工夫することをおすすめします。

など、過去の出来事を書く場合は過去形の文末を取り入れることで、文章にリズムをつけることができます。これにより、文全体のテンポが良くなり、人事担当者の興味を引きつけることができるでしょう。

ちなみに、「ですます調」に体言止めを用いても構いません。「~を志望。」「~が大きな課題。」「~が成功の要因。」といった体言止めを適度に使うことで、文章にメリハリが生まれ、引き締まった印象を与えることができます。ただし、過剰に使いすぎると逆効果になるため、バランスに注意しましょう。

冗長な文になりがち

例えば、次のように冗長な文章に見えることがあります。

  • 学生時代はボランティアサークルに所属し、被災地を度々訪れました。
  • 学生時代はボランティアサークルに所属。被災地を度々訪れた。
  • ゼミで学んだ知識を活かし、製品の販売促進に関わる業務に就くのが希望です。
  • ゼミで学んだ知識を活かし、製品の販売促進に関わる業務に就きたい。

例をご覧になれば一目瞭然ですが、ですます調のエントリーシートの文字数はかなり多めになりがちです。

  • 学生時代はボランティアサークルに所属。被災地を度々訪れました。

先ほど説明した体言止めをうまく取り込むことにより、人事担当者に違和感を与えずに済むでしょう。

少しだけ文章をスリム化できますので、ぜひ取り入れてみてください。

尊敬語・謙譲語を忘れがち

「です」「ます」は、たった2文字で相手に敬意を示せる、非常に効果的な表現です。丁寧な印象を与える一方で、間違った敬語表現を使いやすい点には注意が必要です。

  • インターネットで御社の会社概要を見ました。
  • 社長が大学に来られた際に、このように言われました。

これらは一見丁寧な言い回しですが、違和感を覚えない方は、尊敬語や謙譲語を再確認することをおすすめします。

正しくは、

  • インターネットで貴社の会社概要を拝見いたしました。
  • 社長が本学お見えになった際に、このようにおっしゃいました。

となります。

「御社」や「貴社」といった表現は、間違えやすいポイントです。また、「大学」と「本学」も多くの就活生が混乱しがちなので、ここで取り上げました。

面接時に自分の口で発する際は「御社」で問題ありませんが、文書では「貴社」が正しい表現です。また、大学に関して述べる際には、エントリーシートや面接で「大学では~」よりも「本学では~」「本校では~」とする方が、より好印象を与えます。

文末が「である」エントリーシートの印象とメリット・デメリット

企業が抱く「である」エントリーシートの印象

就職活動ではさまざまなNGが存在しますが、である調のエントリーシートを提出すること自体は間違っていません。しかし、多くのビジネスシーンでは「ですます調」の文書やメールが一般的に使われています。

丁寧な言葉遣いが推奨されている中で、どれだけ「である調」のエントリーシートが受け入れられるかは、正直なところ担当者次第でしょう。

「とにかく忙しいので、パッと読める簡潔な文章が好ましい」 「ズバッと言い切れる人材がほしい」 「自信がある人でないと、この業界では生き残れない」

こういった考えを持つ担当者であれば、「である調」を受け入れてくれる可能性は高いです。

また、コンサルタントやマスコミ商社では、「である調」が受け入れられやすいという情報もあります。

しかし、エントリーシートの記載例が載っている書籍を見返す限り、それが必ずしも正しいとは限りません。

エントリーシートを書く際に「ですます調」と「である調」のどちらが良いか迷われているなら、以下の方法で確認することをおすすめします。

  • 大学の就職課に先輩方のエントリーシートが見られるか問い合わせる
  • 大学のキャリアセンターでエントリーシートについて相談する
  • 志望企業に大学OBOGがいるなら訪問してどちらで出したか訊く

以下では「である」調のメリット・デメリットを紹介しますので、それらを踏まえて判断してください。

「である」エントリーシートのメリット

字数制限を気にせず書け、しっかりとした印象を与えられるのがメリットです。

字数制限に強い

「ですます」エントリーシートのデメリットの一つに、「冗長な文になりがち」というのがありましたね。

一方で、である調の文章は比較的字数を詰めやすいです。

である調は体言止めの表現も自然と加えやすいでしょう。

字数制限が厳しいエントリーシートでは、である調と体言止めで文字数を抑え、できるかぎり多くの情報を詰め込むのもおすすめです。

しっかりとした印象になる

  • 学生時代、力を入れたことは3年務めた学園祭の実行委員だ。
  • 将来的にプロジェクトを牽引できるコンサルタントになることが目標である。

「ですます」と比較してほしいのですが、「~だ」「である」で言い切った表現のほうが「しっかりしているな」「自信があるんだな」「説得力があるな」という印象を受けるでしょう。

である調(常体)は、公用文や新聞記事でも採用されているためか、しっかりした印象を与えることができます。

「である」エントリーシートのデメリット

「である」を使うことにより、礼儀正しいというより威圧的な人と思われる可能性があります。

礼儀正しさが伝わらない

普段の言葉遣いは「です」「ます」で、周囲からは礼儀正しいと言われる人もいるでしょう。

しかし、エントリーシートで「~だ」「である」を使うと、本来礼儀正しいはずの人でも、その礼儀正しさが伝わらず、逆効果になることがあります。

エントリーシートで礼儀正しさを強調したいのであれば、ですます調がいいでしょう。

威圧的な印象になる

「である調」の文書は、「ですます調」の柔らかく丁寧な印象とは大きく異なり、硬くて近寄りがたい印象を与えてしまいます。普段から公用文を扱っている行政職の公務員や新聞記者であれば慣れているかもしれませんが、それ以外の人事担当者にとっては「である調」のエントリーシートが読みにくく、受け入れにくい可能性があります。

「しっかりしている」「頼もしい」と好意的に受け取る担当者がいる一方で、「苦手だな」「身構えてしまう」とネガティブに感じる人もいるかもしれません。

「~だ」「~である」は完全に言い切る表現であり、相手に反論の余地を与えず、押さえつけるような印象を与えることもあります。必ずしも悪い印象になるわけではありませんが、一部の採用担当者にとっては威圧的に映る可能性もあります。

威圧的な人と一緒に働きたいと考える人は、一般的には少ないでしょう。そのため、もし「である調」を使いたい場合は、先輩が実際に書いたエントリーシートを確認したり、就職課やキャリアセンターで助言を受けることをおすすめします。

また、志望企業のOBOGを訪問し、「使っても大丈夫」と確信した時にのみ使用するのも一つの手です。

「ですます」文章を「である」調に変える方法

ワードをお持ちなら、「ですます」から「である」調に簡単に変えることができます。

コピペして[ホーム]→[置換]→[検索する文字列]の入力欄をクリックし、「です」と入力→[置換後の文字列]の入力欄をクリック→[オプション]→[書式]→[蛍光ペン]というプロセスで文末を強調できるでしょう。

「です」のほかにも、「ます」「でした」「ました」も同様の手順で蛍光ペンで強調できます。

適宜「~だ」「である」「であった」など変換していけば、比較的手間暇かけずに変更できるはずです。

まとめ

エントリーシートでは、基本的に「ですます」で書いたほうが書きやすく、人事担当者からの印象も悪くする心配がありません。

「である」は文字数を抑えられ、情報量を増やせる点は魅力的です。

しかし、印象の良しあしでいうと人事担当者次第になるため、確実性がありません。

それでも戦略的に「である」で勝負をしたいなら「である」でもいいでしょう。

いずれにしても、本当に大丈夫かご自身でも確認してから自信を持って提出してください。

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