はじめに

エントリーシートは就職活動における最初の重要な関門です。
企業との最初の接点となるこの書類の作成は、選考突破の鍵を握っています。
エントリーシートの提出から選考は以下の流れで進みます。
- エントリーシート提出
- 書類選考
- 適性検査
- 面接試験
- グループディスカッション
エントリーシートを通過できなければ、仮に優秀な人材であっても次のステップに進むことができません。
そのため、丁寧かつ戦略的な作成が求められます。
さらに企業はエントリーシートで以下のようなポイントを評価しています。
- ・志望動機の明確さ
- ・自社との適・マッチ度
- ・論理的思考力と文章力
- ・強みやスキルの具体性
- ・主体性やチャレンジ精神
上記の要素を意識することで、エントリーシートを単なる「書類」として作成するのではなく、企業の視点を理解した上で戦略的に書くべきものであることが明確になります。
それでは、エントリーシートでよく出題される質問項目について、具体的な記入例を解説していきます。
実例を参考に、自分らしさを表現できるエントリーシートを作成していきましょう。
エントリーシートの基本項目
企業によってエントリーシートの記入内容や記入欄は異なります。
しかし、記入する内容をある程度絞ることは可能です。
エントリーシートを書くにあたって、あらかじめ想定される記入内容を把握しておきましょう。
高確率で記入するもの | 記入内容 |
氏名・住所 | 名前や住所をはじめ、連絡先や生年月日が聞かれる |
学歴 | 中学、高校、大学と記入する |
志望動機 | なぜ応募した企業に入社したいのかが聞かれる |
自己PR | 自己紹介に近いもので、自分のことを聞かれる |
学生時代に力を入れたこと | 学生時代に頑張ったことを聞かれる(通称ガクチカ) |
エントリーシートの例文
エントリーシートの例文を実際に見ていき、書き方を学んでいきましょう。
各項目に応じて適切な書き方を押さえていけば、企業の選考も通過しやすくなります。
氏名、住所など基本情報
エントリーシートの基本情報欄は、慎重に記入する必要があります。
正確な個人情報の記載は、企業とスムーズなコミュニケーションにつながります。
以下の項目は特に注意が必要です。
・氏名のふりがな – 指定された表記方法に従う
・アドレス – 都道府県名から番地まで省略せずに記載
・被害 – 和暦・西暦どちらかに統一
・電話番号 – 携帯電話番号のみでも問題なし
・メールアドレス – 文字や数字をわかりやすく記入
提出書類や選考に関する連絡が確実に届くよう、面倒でも正確な情報を記入することが大切です。
記入欄 | 記入例 |
氏名 | 山田 太郎 ふりがな:やまだ たろう、カタカナ:ヤマダ タロウ |
住所 | 東京都〇〇区〇〇町1-2-3 〇〇アパート101号室 |
生年月日 | 西暦2000年1月1日、平成12年1月1日 |
連絡先 | 090-1234-5678、syukatu@gmail.com |
学歴の記入欄
エントリーシートの学歴欄は、正確な情報を漏らさず記載することが重要です。
現在までの学歴を、正式に名前を記入することが基本となります。
学歴記入の際は以下のポイントに気をつけましょう。
・中学校からすべての学歴を記載
・学校名は必ず正式名を使用します
・入学年月と卒業年月を記載
・大学在学中は「卒業見込み」と記入
正式名称の例
×○○中学校 → ○○○市立○○中学校
×○○高校 → ○○県立○○高等学校
×○○大学 → ○国立大学法人○○大学
似た名前の学校との混同を避け、正確な情報を伝えるために、省略せずに記入することが大切です。
入学・卒業年月の記入漏れにも注意を払いましょう。
年月 | 学歴 |
平成〇年3月 | 東京都〇〇市立〇〇中学校 卒業 |
平成〇年4月 | 東京都立〇〇高等学校 入学 |
平成〇年3月 | 東京都立〇〇高等学校 卒業 |
平成〇年4月 | 〇〇大学 〇〇学部 〇〇学科 入学 |
平成〇年3月 | 〇〇大学 〇〇学部 〇〇学科 卒業 |
職歴 | |
なし | |
以上 |
志望動機

志望動機は、企業へ自分の熱意を伝える重要な項目です。
具体的な数値や実績を一歩踏み込んだ説得力のある内容にすることで、採用担当者の印象に残ります。
効果的な感動動機の作成ポイントは以下の通りです。
・具体的な数値や目標を示す
・企業の特徴や強みを詳しく分析
・入社後のビジョンを明確に書く
・自らの経験と企業の理念をマッチさせる
以下で具体的な志望動機の記入例を紹介していきます。
記入例 企業理念私は貴社の”独創性とアイデアを形にする”という企業理念に共感し、志望いたしました。私はレストランでアルバイトをしていた時に、自分のアイデアで新メニューの開発に携わったことがありました。新メニューは実際に10個ほどですが販売実績も出せました。その時に自分のアイデアが実際に形となって表れることに嬉しさを感じ、アイデアを出して形にすることを積極的に行ってきました。貴社に入社した際には、常に独創性とアイデアの形成を忘れずに、新しい商品を生み出したいと考えています。 |
記入例 商品・サービス私は貴社の作る商品のようなものを作りたいと考え、志望いたしました。貴社の作る商品にはお客様の満足度を第一に考えている作りがされており、商品作りの根底が固められていることが分かりました。私は雑貨屋でアルバイトをしているのですが、新しい商品を作る時にお客様の使いやすいものを作るよう教えられ、何でも切れるハサミを考え作りました。このハサミを販売したところ、雑貨の売上も20%伸び、顧客満足度を調べるアンケートを実施した結果、満足度は95%にまで達しました。この時の経験から、お客様のことを第一優先に商品作りを心掛けるようになりました。貴社の商品も顧客満足度で何度も1位となっていることから、お客様のことを考えた商品を作っていると考えました。貴社に入社した際には、お客様のことを考えた商品を作り、お客様に喜ばれていきたいと考えています。 |
記入例 仕事内容私は前線で新たな取引先を切り開く営業職の仕事に魅力を感じ、応募いたしました。私は大学でサークルの幹事をしています。他の大学との交流をするために、自ら大学側にアポイントを取って交流の提案をしたこともあります。交流の提案の際には、プレゼンテーションを用意して交流するとお互いの大学のイベントにも参加しやすくなるメリットを伝え、交流の合意を得ることができました。また、交流場所の用意の際は大学の近くの空きビルの一室を借りるために大家と交渉しました。交渉時には借りた際は掃除やメンテナンスを徹底してお返しすることを条件に同意をもらうことに成功しました。このような交渉を繰り返して一つのことを成し遂げることに喜びを感じ、社会に出ても交渉する能力を活かせる仕事がしたいと考えるようになりました。営業はその身一つで交渉先と取引したりプレゼンテーションしたりするため、大学で培った能力を活かすのに最適だと感じました。 |
以下の記事では、志望動機でどのように企業にアピールするかを徹底解説しています。
具体的な書き方のポイントを紹介していますので、ぜひ本記事を併せて読んでください。
エントリーシートの志望動機で企業にアピール!書き方のコツを解説
自己PR
自己PRの作成には、深い理解が必要です。
自分の特徴や能力を明確に把握し、企業の求める人材像に合わせて表現することが採用への近道となります。
ような自己PRのポイントは以下の通りです。
・自己分析で得た強みを具体的に表現
・企業の求める人材像との一致を意識
・不要な情報を省いた思考な表現
・実績や数字で裏付けられた自信力
【自己PR作成の手順】
1.自己分析で強みを洗い出す
2.企業の人材募集像を調査する
3.強みと求める人材像を結ぶ
4.思考な文章に考える
そのため、ポイントを絞った印象的な自己PRを心がけましょう。独自の視点と具体的な実績を盛り込むことで、他の応募者との差別化を図れます。
記入例 私の強みは継続力です。 1度決めたことは投げ出さず、最後までやり切ることができます。 大学時代ではラグビー部に所属し、自分自身に毎日タイヤ引き30回を課しました。 雨の日や試合、テスト期間で練習時間が少ない時もありましたが、通勤時間に勉強対策を割り当てる、学校の空き教室を借りてタイヤ引きを実施するなどして毎日やり切りました。 タイヤ引きを続けた結果、2年秋にはレギュラー入りを果たし、大学選手権でチームの準決勝進出に貢献しました。 入社した後も、持ち前の継続力で成果を挙げたいと考えています。 |
記入例 私の強みは責任感です。 自分に与えられた役割はどんな困難に直面しても取り組むことができます。 学生時代にスーパーの鮮魚コーナーでアルバイトをしていました。 アルバイトでは毎日、魚の仕分けが役割分担され、私は海老や貝の分担を任されました。 他の従業員が魚を担当している中で、私だけ海老や貝といった甲殻類や貝類を任せられましたが、ベテランの社員にやり方を聞くなどして仕分けを進めました。 時には厳しく指導されることもあったり、仕分けが制限時間に終わらず注意され投げ出しそうにもなりましたが、自分に任せてもらっている嬉しさもあり、就業後にスーパーの陳列棚を見て勉強するなど工夫しました。 その結果、仕分けスピードも向上し、1人でも問題なく仕分けができるようになりました。 貴社に入社後も決して自分の役割を投げ出さず、最後まで遂行することで貢献をしていきます。 |
記入例 私の強みはチャレンジ精神です。 立ち止まらずに新しいことにも積極的に挑戦する力と意識があります。 私は学生時代に学園祭の実行委員を任されました。 それまでと違う学園祭にしたいと考えた私は、地域の福祉団体と協力し合い、出し物をしようと思いました。 委員会では、先方の都合もあるから難しいという意見が多かったのですが、まずはやってみようと思い、提案だけでもしてみました。 提案の際には、福祉団体の方々にもメリットがあるように大学に自治体や地域の関係者を誘致する旨を伝えました。 その結果、福祉団体からも協力してもらえることになり、学園祭も大いに盛り上げることができました。 貴社に入社した際も、できないと思うのではなく、まずは何事にも挑戦し、そこから新しい価値を創造していこうと考えています。 |
自己PRをより魅力的に仕上げたいという方は、以下の記事をチェックしましょう。
例文を用いて解説していますので、より具体的に対策ができます。
【魅力的な自己PRの書き方とは?】例文を使ってコツを徹底解説!
学生時代に力を入れたこと
学生時代の取り組みについて説明する際は、内容の独自性より取り組んだという姿勢が重要です。
何を学び、どのように成長するかを具体的に伝えることで、企業への貢献をイメージさせることができます。
効果的な記述のポイントは以下の通りです。
・挑戦の具体的なプロセス
・数値で示す成果
・得られた学びや気づき
・企業での活用方法
ガクチカに関する例文は以下で紹介していますので、参考にしてください。
記入例:アルバイト私が学生時代に頑張ったことは、アルバイトで売上を1.5倍にしたことです。 私がお菓子店のアルバイトをしていた頃は、新型コロナウイルスの影響で来店が減少しており、売上も低下傾向にありました。 そこで私は自宅にいても商品が購入できるように、オンラインサービスの提案をしました。 実際に店舗の簡単なホームページを作成し、オンラインで注文ができるようにし、ホームページのサイトURLが載ったチラシも店舗の周囲の住宅街にポスティングしました。 最初の頃は効果は出ませんでしたが、開始から2か月が経過した頃に初めてオンライン上で注文が入りました。その時の感動は今でも忘れられません。 お菓子の口コミもホームページ上で記入できるようにしたことで、閲覧数も開始月より500回ほど上昇し、オンライン上での注文も200個ほど増えていきました。 その結果、コロナ下で落ち込んだ売上を1.5倍まで上昇させることに成功しました。 アルバイトでの活動を通じて、企画力と実行力を培うことができました。 貴社でも、目標達成はもちろん、目標以上の実績を出せるように学生時代に培った企画力と実行力を活かして貢献していければと思います。 |
記入例:サークル私が学生時代に頑張ったことは、サークル活動で部員数を2倍に増やしたことです。 私が所属していたテニスサークルは、部員が少なく1年生から4年生までで10人しかいませんでした。 私はなぜ、こんなに人数が少ないのか考えてみたところ、活動時間が短く、顧問が不在なことからテニスの上達が見込めないからだと判断しました。 そこで、まずは活動時間を30分長くとるように提案し、テニスの経験者だった先生に顧問の依頼をしました。 また、練習試合も3か月に1回だけだったのを月に1回に変更できないか近隣の学校にお願いし、月に1回に変更してもらうことに成功。 交渉の際には、お互いに練習相手が不足している点をカバーし合えることを伝え、まとめることができました。練習環境を改善した結果、新入部員が10人以上入り、部員数は10人から20人に倍増しました。 私は学生時代のサークル活動を通して、問題点を洗い出し、問題を解決する能力を培うことができました。貴社でも問題を見つけて解決できるように貢献していきます。 |
まとめ
エントリーシートでは自己分析や企業分析が欠かせません。
しかし、いくら自分自身や企業を調べてもエントリーシートの書き方を上手く理解していなければ活かすことはできないでしょう。
エントリーシートをどのように書けばいいのか分からない学生は多いです。
いきなり自分の力で一からエントリーシートを書く必要はありません。
まずはエントリーシートの例文を見て、どのように記入していけばいいのかを把握しましょう。
書き方が分かってきたら、実際に自分で書いてみて納得のいくエントリーシートを作成してください。
さらに以下の記事では、エントリーシートの基本構成から押さえておきたい書き方のポイントまで詳しく解説しています。
この機会に採用担当者の目を引くようなエントリーシートを作成しましょう。
早期内定者は知っている!採用担当者が釘付けになるエントリーシートの書き方とは!?