25 年卒

男性

学んできたこと

私は、マスツーリズムに代表される画一的な開発重視の観光形態ではなく、地域が主体となりその地域の伝統や生活文化、自然環境といった資源をもとにした振興を模索するオルタナティヴな観光形態を学んでいます。特にゼミ活動では、地域資源を観光促進に活用する方法を探るべく、フィールドであるハワイ・オアフ島のファーマーズマーケットにおける「ローカルフード運動を受けた地産地消を軸とする新たな消費形態の活発化」をテーマに取り上げ、活発化の社会経済的要因の考察を行いました。特に実際の現地調査によって、各店舗の外観や工夫などを観察することや出店している店舗の従業員らへのインタビューを行い出店の経緯や目的、ターゲット層などといった情報を入手することで、それらを考察の材料としました。そしてその結果、新たな消費形態の活発化の背景には、地域住民が地産地消を行う事業を展開することで地域の若者らの愛郷心の確保につなげる試みや、高い付加価値を作り出すことで経済を活発化させる試みによるものであることが分かりました。
また、ゼミ活動において重視してきたことが前述のように現地調査を行うことで地域ごとの「一次データ」を収集し、その地域の社会経済的背景を考察することです。そして、こうしたデータを可視化するべくイラストレーターやエクセルを活用し、土地利用図や出店分類表を制作してきました。(下記図①・②)

学生時代に力を入れて取り組んだ事例

この事例として、私は自主的に地域に入り込んで行った「地図づくり」を挙げます。私は学生時代に個人的な活動として地域のゲストハウスなどで手伝いをしながら長期滞在を行いました。この際に、学業を踏まえて地域資源を域外者が認知する機会を作りたいという考えを持ったことにより、宿泊施設周辺の地図づくりを行いました。例えば、◯◯県の事例(写真①)において、伝統農法を活用した野菜の栽培を行なっていたことから、より多くの宿泊者にその畑や海藻堆肥の元となる海の場所を知って欲しいと考え宿主に相談したところ、その目的への同意と制作の許可、さらに他の宿泊者とのヨソモノ視点の共有ができる地図作りをしてほしいという依頼を受けました。これらの状況を踏まえ、オーナーや住民らへのインタビューを行い、その結果と自身の感想を地図に記載し完成させました。
一方で◯◯県での事例(写真②)では、オーナーと逐次相談をしながら、状況に合わせた地図作りに苦戦しました。前回の事例とは異なり、周囲を出歩く人が少ないことやゲストハウスを名乗りながらも〇〇の宿坊的な役割を持ち他の宿泊者との交流が少ないことが分かりました。さらに、客層を調査すると、1〜2人で〇〇を歩く目的で訪れる方が多いこと、特に自然とのつながりを意識する外国人個人観光者が多いことが分かりました。こうした状況を踏まえ、対象範囲を〇〇に設定し、また古道散策中の感想を付箋に書いてもらい貼って頂くことによってその付箋を介した宿泊者同士の地図上での交流を企図するといった提案を行いました。また、紙の大きさや設置場所などのハード面での交渉も行い、地図を完成させました。
このように依頼や自身の目的の背景は何かといったことや客層の把握、市民との対話を通して「調査」を行い、それらを論理的にまとめる「提案」、そして具現化していく「実行」というプロセスを経験したことによって、地域の課題に応じて幅広く応えていく能力や関係者に対して合意形成を図る能力を養うことができたと考えています。

志望動機

貴社を志望する理由として、構想から計画策定のみならず事業立案まで手がけていること。自ら地域に入り込む経験を培ってきたことから貴社の求める人材に沿っていると考えていること。そして、地域に入り込む上で、行政ではなく民間が行う意義があることの3点を挙げます。
1つ目の点について、事業主体となり地域に継続的に関わることは、地域貢献において重要な意義を持つと考えています。特に、リゾート建設などの画一的な計画・開発に基づく観光振興ではなく、伝統・生活文化・自然環境といった地域資源をもとに定住促進や6次産業化などの振興を図る際には、地域外への発信や外部との交流などといった継続的な取り組みを通してそれらの資源の持続可能性を高めるアプローチが求められると考えているからです。
2つ目の点について、私は自ら地域に入り込み地図作りでの地域資源を域外者に認知してもらう活動を通して「調査」・「提案」・「実行」というプロセスを培いました。このことは、地域資源の認知という課題に対して、周囲の人々を巻き込みながらその解決に向けて働きかける機会になったと考えています。貴社の特色である住民とともに課題と対策を考える上で、物事の本質を掴み、みんなに働きかける自主性を養うことができたと考えます。
3つ目の点について、地域活性化の主体が行政の場合では財源が主に税金であることから住民に対して公平性を意識しなければならず経営的視点を持ちづらい環境であるのに対し、民間企業の場合には住民に対してより多くの利益を生み出していく視点を持つことができると考えます。また、民間企業は部署間での異動が少なくプロジェクトに対して一貫して取り組めることも魅力であると考えています。
これらの理由をもとに、入社後は具体的に観光分野において、「地域ならでは」の資源である伝統農法や自然環境に着目し、高付加価値の商品開発につなげ、産業を活性化させることや、農泊体験や山村留学を通して関係人口の増加や二次的な自然環境の維持のシステムの構築に取り組みたいと考えます。特に、これらの試みを通して日帰り観光者が多い地域や半島や離島、限界集落地域に対して宿泊者の増加を図り、観光者の長期滞在や移住促進に貢献できるような仕組みを整えていきたいと考えます。

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